ギターアンプのパラメータと分類、トランジスタアンプ・チューブアンプ・アンプシミュレーター

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エレキギターにおいて音色を形作るものといえばギターの形状、ピックアップの種類、ピッキングの方法、シールドの質、エフェクターの種類等があります。ここでは、それらの中で最終的に信号を増幅して音を出力するため音色に大きな影響を与えるエレキギター用のアンプについて紹介していきます。

ギターアンプ

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ギブソンのソリッド・ステート・アンプ(Gibson G80)
作者 HYPERION
ギターにおけるアンプは電子楽器と組み合わせて演奏することを目的として設計、製造された音響機器です。アンプ(アンプリファイヤ)という名前になってはいますが、アンプ部分だけではなくスピーカを内蔵しているものも数多く存在します。

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Orangeのアンプヘッドとキャビネット
作者 Zumwalder
これらは、アンプ部分とスピーカー部分が一体型のコンボアンプ、アンプ部分とスピーカー部分でそれぞれ独立しているキャビネット(スピーカー)+アンプヘッド、といったように大別されます。キャビネットは多段で用意することができるため、ライブやコンサートといったより大音量が求められる場面で活躍します。

アンプのパラメータ

一般的に、アンプ部には信号の入力レベル、各音域のトーンコントロール、リバーブ、トレモロといったエフェクト、スピーカーからの出力レベルを決めるためのつまみが付いています。また、上位のアンプでは外部のエフェクターを利用するための入出力端子が付いているものもあります。
初期のギターアンプでは、ボリュームと簡易なトーンコントロールが行えるのみでした。しかし歪みが登場してからは、アンプの音量を上げない状態で歪んだ音を出したいという要望により、プリアンプ(入力レベル)とパワーアンプ(最終的な出力)といった独立した2ボリューム構成が採用される場合がほとんどになりました。
プリアンプとパワーアンプという2段構えの構成では、プリアンプのボリュームを上げてパワーアンプを絞ることで、プリアンプでの歪みをパワーアンプで任意の音量にできます。また、プリアンプを絞りながらパワーアンプの出力レベルを上げることで大音量のクリーン・トーンが得られます。
スピーカー部分はコンボアンプでは操作することができませんが、アンプヘッドとキャビネットを用いる場合、キャビネットの種類や複数台積み重ねたり並べることで音色を変化させることが可能です。ただし、キャビネットはライブやコンサートでの使用が一般的なので、自宅ではほとんど考慮する必要がないかもしれません。

トランジスタのアンプと真空管のアンプ

音響機器でのアンプと同様に、ギターアンプでも信号の増幅にはトランジスタが用いられるものと真空管が用いられるものがあります。これらはそれぞれトランジスタアンプはソリッド・ステート・アンプ、真空管アンプはチューブ・アンプと呼ばれます。

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真空管アンプ、Mesa/Boogie Mark IV
作者 Fatty Pubis
この2つのアンプで大きく異なるのは音色で、ソリッド・ステート・アンプはある信号量から歪み始めるのに対し、チューブ・アンプは信号量と比例する形で音が歪んでいきます。また歪みより生じた倍音の性質も異なり、ソリッド・ステート・アンプでは金属的な響き、真空管アンプは温かみのある音が出ることが知られています。そのため、ソリッド・ステート・アンプはクリアな音色と攻撃的な歪み、チューブ・アンプは太さのある音色と自然な歪みが特徴といえます。
ただし、ソリッド・ステート・アンプと比較するとチューブ・アンプは真空管を交換していくといったコストとメンテナンスの手間がかかります。また、衝撃に弱く、デリケートなため扱いには注意が必要となります。

アンプ・シミュレーター

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特徴的な形状のアンプシミュレーター、Line6 POD X3
作者 Rodrigo César
コンピュータの発達により、現在では様々なギターアンプの増幅をシミュレートするアンプシミュレーターも広く普及しています。これらはアンプヘッドにUSB端子を備えたものからコンボアンプに搭載されたもの、エフェクターとしても機能するものなど、様々な形で様々な機器に搭載されています。

これらには非常に多くのアンプ、キャビネット、エフェクターをシミュレートするデータが入っており、全てを揃えるよりはるかに安価で、またその利便性から生演奏から宅録、DTMといった様々な分野で利用されます。

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