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コンパクト・エフェクターは極限までコストダウンを実現させた安価な製品から、最良の音を目指してコストを度外視したハンドメイド品まで、様々なグレードのものがあります。ここでは、低価格で実用にも耐えうるかもしれない、コストパフォーマンスに優れたアナログディレイ・エフェクターについて紹介していきます。
Arion SAD-3 Analog Stereo Delay Demo (in mono mode)
ARION・SAD-3
真空管で歪ませたようなオーバードライブTUBULATOR、低中音域が特徴のコーラスSCH-Zといった、コストパフォーマンスに優れた低価格帯エフェクターメーカーARIONのアナログディレイがSAD-3です。
SAD-3で操作できるパラメータは、音の反響する間隔を決めるディレイ、エフェクトの深さを決めるデプス、反響回数を決めるリピートとなっています。また、本機はSCH-ZのようにDIRECTモードとSTEREOモードによるステレオ出力に対応しており、DIRECTモード時はそれぞれの出力端子からドライ音とウェット音が、STEREOモード時は両出力端子からウェット音が出力されます。
SAD-3のディレイは低中音域が強調されたアナログらしい太い音色が特徴です。そのため、高音域が持つ繊細さが必要な場面には向かないかもしれません。また、ディレイタイムが50ms~200msと短く、デジタルディレイのように長時間音をメモリーして音の反響を再現することは出来ません。こういった特徴のため決して万能ではないSAD-3ですが、本機の太いディレイ音は人を穏やかで心地のよい気分にさせる力があります。
Behringer Vintage Delay Pedal VD400
BEHRINGER・VD400 Vintage Delay
様々なエフェクターを参考にコストパフォーマンスに優れた低価格帯エフェクターを作り出している、BEHRINGERのアナログディレイがVD400 Vintage Delayです。こちらはBOSSのアナログディレイDM-3を参考にしていると言われており、リピート回数を決めるIntensity、エフェクト音量を決めるEcho、ディレイタイムを設定するRepeat Rateでディレイの設定を行います。
VD400 Part1 [BEHRINGER]
また、VD400もステレオ出力に対応しており、OUT端子からはウェット音が、DIR OUT端子からはドライ音が出力されます。そして、OUTとDIR OUTの両出力端子を用いる場合、エフェクトオフの際にはDIR OUT端子からのみ信号が出力されます。そのため、使いこなすのはなかなか難しそうですが、VD400は変則的なA/Bボックスとしても使用することができます。
VD400もまたアナログディレイであることからディレイタイムを長くすることはできません。しかし、その優しいディレイ音は非常に魅力的です。そして、こちらはARION・SAD-3より更に安く、エフェクターとしてもディレイとしても最低価格の部類に入ります。そのため、音が気に入ればこれほどコストパフォーマンスに優れたものはありません。