4分で読めます。
コード進行
B♭ | C/B♭ | Am | B♭ Dm C |
B♭ | Am | Dsus4 | D |
ディグリーネーム
Ⅳ | Ⅴ/Ⅳ | Ⅲm | Ⅳ Ⅵm Ⅴ |
Ⅳ | Ⅲm | Ⅵsus4 | Ⅵ |
機能
SD(王道進行風カデンツの起点) | D/SD(Ⅴ7でもある) | T | SD T D |
SD | T(Ⅵに対する平行短調のD、他調のトゥーファイブ進行の起点Ⅱm) | T | T(平行短調のT、他調のトゥーファイブ進行のⅤ) |
分析
今回はFの長調を主調とした、シリアスで緊張感のある繋ぎのコード進行です。テクニックとしては、王道進行風のカデンツ、オンコードと転回形、平行短調のドミナント終止、sus4が登場します。
まず、1~4小節目では「Ⅳ→Ⅴ/Ⅳ→Ⅲm→Ⅳ→Ⅵm→Ⅴ」とコードが進行します。これは、ヒット曲でお馴染みの王道進行「Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵm」のバリエーションの1つと考えることもできるコード進行です。ただし、その変化は軽微ではないようです。
例えば、Ⅴは前のⅣのベースが保続してⅤ/Ⅳとなっています。これにより、ここでは緊張感のあるⅤ7の響きとともにⅣとの統一感も生まれています。また王道進行の「Ⅲm→Ⅵm」の部分は、「Ⅲm→Ⅳ→Ⅵm→Ⅴ」という形でⅣが長く続き、直後にⅥmとドミナントのⅤが組み込まれています。これにより王道進行の響きはかなり崩れており、繋ぎらしい雰囲気が強まっています。
次に、5~8小節目では「Ⅳ→Ⅲm→Ⅵsus4→Ⅵ」というコード進行が現れます。こちらは1~4小節とはうってかわり、サブドミナントⅣの後にトニック代理のⅢmへ進みます。Ⅲmは複数の役割を持つコードで、平行短調におけるドミナントⅤmでもあり、他調のトゥーファイブ進行の起点であるサブドミナントのⅡmでもあります。
そして完全4度上(5度下)の移動を経て、Ⅲmはトニックあるいはドミナントとして機能する「Ⅵsus4→Ⅵ」へと至ります。今回の場合は緊張感が適度に維持していることから、末尾はドミナントとしての性質が強いようです。
こうして、コード進行は他調のドミナントとしての性質が強いⅥへ至り、コード進行が一段落します。
まとめ
今回のコード進行では、繋ぎの進行に組み替えられた王道進行風の「Ⅳ→Ⅴ/Ⅳ→Ⅲm→Ⅳ→Ⅵm→Ⅴ」が登場しました。定番のコード進行の間に機能的に繋がりやすいコードを配置すると、今回のようにある程度は変化を維持しつつも、劇的な場面転換を抑えることができます。
また、「Ⅳ→Ⅲm→Ⅵsus4→Ⅵ」では転調が組み込まれており、緊張感がぐっと高まっていました。1つのコードは様々な調のダイアトニック・コードに属しています。そのため、他調を意識することができれば、様々な調に転調することが可能です。ただし、転調は調の統一感を損なうおそれがあるので、バランス感覚がとても大切です。