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コード進行
BM7(13) BM7(13)/F# | Fadd9/C# Fadd9/D# |
BM7(13) BM7(13)/F# | Fadd9/C# D#m |
BM7(13) BM7(13)/F# | Fadd9/C# Fadd9/D# |
BM7(13) BM7(13)/F# | Fadd9/C# D#m |
ディグリーネーム
♭ⅥM7(13) ♭ⅥM7(13)/♭Ⅲ | ♭Ⅲadd9/♭Ⅶ ♭Ⅲadd9/Ⅰ |
♭ⅥM7(13) ♭ⅥM7(13)/♭Ⅲ | ♭Ⅲadd9/♭Ⅶ Ⅰm |
♭ⅥM7(13) ♭ⅥM7(13)/♭Ⅲ | ♭Ⅲadd9/♭Ⅶ ♭Ⅲadd9/Ⅰ |
♭ⅥM7(13) ♭ⅥM7(13)/♭Ⅲ | ♭Ⅲadd9/♭Ⅶ Ⅰm |
機能
T T/T | T/SD T/T |
T T/T | T/SD T |
T T/T | T/SD T/T |
T T/T | T/SD T |
分析
今回はD#の短調を主調とした、オンコードにより複雑さが増したテンション・コードが登場する、眩しく立体感の有るコード進行です。ただし、使われているコードの数自体はそれほど多くありません。
まず、コードはトニック代理の♭ⅥM7にテンションの13度(6度)が加わった、♭ⅥM7(13)から始まります。ここではコードネームに従って全ての音を加えていますが、音がやや密集しているように感じるかもしれません。そのため、実際には音を省略したり、オクターブ上にずらすといった工夫が必要になりそうです。
そして1小節の後半からは、オンコードにより♭Ⅲがベースに指定されている♭ⅥM7(13)/♭Ⅲが登場します。このコードにより、1小節目では後半と前半でベースに完全4度下(5度上)の移動が生じます。その結果、この2つの音は機能的にはトニック代理のルートですが、距離があるので展開感を生み出しています。
次に2小節目では、9度の音が追加されベースに♭Ⅲが指定された♭Ⅲadd9/♭Ⅶが登場します。このベースの♭Ⅶはサブドミナントのルートなので、結果としてサブドミナントの雰囲気が強まり展開感が増しているようです。
また、♭Ⅲadd9/♭Ⅶは、1小節目後半のベースの♭Ⅲと完全5度上(4度下)の関係にあるので、これも展開感を強調しているようです。ちなみに、♭Ⅲadd9はコード部分の1度の音を1オクターブ上げて弾ける形にしてから鳴らしています。
それから2小節目の後半では、♭Ⅲadd9/♭Ⅶのルートをダイアトニック・スケールに従って上昇させた、♭Ⅲadd9/Ⅰが現れます。こうして、ベースがトニックⅠmのルートに着地することで、トニックらしい落ち着いた雰囲気が生まれています。
またベースラインを平行長調で見ると、「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅵ」と進行していることが分かります。そして上部のコード部分はこのベースをルートとするコードを含んでいるので、ベースがコードの響きと聴こえ方に影響を与えているようです。そのため、平行長調ではサブドミナント終止と偽終止が含まれていることにより、それなりの終止感が生まれています。
1~8小節は基本的にこの進行の繰り返しです。ただ、4小節目と8小節目では主要和音のトニックのような響きもある♭Ⅲadd9/Ⅰではなく、しっかりとⅠmへと着地します。これが、一連のコード進行の区切りとして機能しています。
まとめ
今回のコード進行では、テンション・コードの響きをコントロールしているベースラインが印象的でした。テンション・コードは音の響きや厚み、前後との音高の関係、演奏のしやすさが考慮されて、音が省略されたりオクターブで移動します。そのため、同じコードでも場面により響きが変わってきます。
そして、オンコードによりテンション・コードのベースを変更すると、聴こえ方は更に変わってきます。これらのチョイスにいくつかの選択肢がある場合、感覚を頼りにしながら部分部分と全体のサウンドを確かめつつ、慎重に吟味していきたいところです。