エレキギターのハイエンド・ルーパー・エフェクター(BOSS・RC-300)

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コンパクト・エフェクターは、極限までコストダウンを実現させた安価な製品から、最良の音を目指してコストを度外視したハンドメイド品まで、様々なグレードのものがあります。ここでは、より高品質・高音質な音色を目的とした、上位機種のルーパー・エフェクターについて紹介していきます。
RC-300 Loop Station: Performance #1

BOSS・RC-300

BOSS・RC-3の上位機種、RC-30より更に多くのエフェクトと入出力端子そして操作部を備えた、豊富な機能を持つ高性能ルーバーがRC-300です。その重量は3.9kgとコンパクトペダル型のRC-3よりかなり重くなりましたが、その分様々な機能が追加されています。例えば、最もルーパーに関係している部分として、各フレーズは独立して操作が可能な3トラックのデータから構成されるようになりました。
これは凄いことで、3トラックそれぞれを個別に録音、オーバーダビングし、内蔵のエフェクトを掛けて好きな組み合わせで再生することができます。また、DAWのようにそれぞれのトラックの音量、テンポの同期、小節数、音量等を細かく変更することができ、逆再生することもできます。
RC-300 Loop Station: Performance #2
そして、機能面ではリズムパターンと使用できるフットスイッチ数等も強化され、より複雑な演奏も録音しやすくなっています。更に、揺らし系、空間系、ボーカル用のエフェクトなどもあり、トラックやフレーズ、入力などにアサインしてペダルで操作することが可能です。その他、下位機種にもあったオーバーダビングのリドゥとアンドゥ、演奏の瞬間から録音が始まるオート録音等も健在です。
ハード面での強化では、本機のUSBはPCとのデータのやり取りだけでなくオーディオ・インターフェースとしても使用できるようになりました。そのため、本機を通じてDAWと連携することも可能です。また、ステレオ入力のINST端子、ファンタム電源対応のXLR端子、他の音源を取り込むためのAUX端子も搭載されているので、ギターだけでなくベースやシンセサイザー等、様々な楽器の入力に対応しています。
BOSS RC-300 Rico Loop NAMM 2012 Demo
こういった豊富な機能を目の当たりにすると、本機はエフェクターというよりは録音が可能なMTR、ミキサー、オーディオ・インターフェースと言った方が正しいかもしれません。ただ、本機はアンプシミュレーターやマルチ・エフェクターとして開発されたわけではなく、ループ端子も無いため、これ一台でギターの環境を完結させることはできません。
また、同時に使用できるトラックには限りがあるので、これ一台で録音を全て完結させるのは少し大変です。そのため、本機はDAWやエフェクター、ミキサーの良い所取りで様々なことに使用できますが、それぞれの専門性には及びません。本機は様々な機能を取り入れたことで、競合する製品が増えてしまった機器でもあるわけです。
Roland、BOSS「RC-300」をリリース!
様々な機能が追加されたことでやや分かりにくくなっていますが、本機のコンセプトと最も得意とすることは、リアルタイムに音を重ねていくサウンド・オン・サウンドのパフォーマンス、人数が少ないバンドでのバッキング、ダブリング、ハーモニーの録音と演奏補助等です。そして、これらを手軽に行えることが本機の最大の魅力です。

従って、録音とオーバーダビングの機能を中心にその周辺の機能を活用することで、本機はその値段相応の良さ・面白さを発揮することができると言えます。しかし、本機の機能や手軽さが必要なければ、より安くPCでの録音環境を整え、エフェクトや音源などを購入することが可能です。音楽用の道具は決して安くないので、自分に必要なものをしっかりと確認しておくことが大切です。

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