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シンセサイザーは波形を加工して楽器として扱う機器のことで、表舞台に登場してから、試行錯誤が繰り返されてきました。そして今では多くのジャンルで使用されるようになり、また改良が加えられて様々な形式のものが生み出されてきました。ここでは、そのシンセサイザーの最も単純で基本的なタイプである減算方式のシンセサイザーについて説明していきます。
減算方式シンセサイザー
減算方式のシンセサイザーの概略図
作者 Scriber Scriber
シンセサイザーは、出力・加工する波形を選択し、音の高さを決定する「オシレータ」、波形をカットすることで音を加工して音色を決める「フィルタ」、音の大きさを調節する「アンプリファイア」、そして音の時間的な変化を作る「エンベロープ・ジェネレータ」の4つが基本的な構成です。そしてこれらに干渉する「LFO」も合わせて説明していきます。
オシレータ(OSC)
作者 Omegatron
このセクションではいくつかの基本的な波形が生成されるので、その中から使用する波形を選びます。
ノコギリ波
鋸歯状波とも呼ばれるこの波形はその形が名前の由来となっており、明るい音色がシンセ・リードや金管楽器の音を模倣するのに使われます。
矩形波
スクウェア波とも呼ばれるこの波形もその形が名前の由来で、ノコギリ波と比較すると少し暗い音に聞こえます。
サイン波
正弦波と呼ばれる、倍音を含まないこの波形は音叉などがその代表例で、これも特徴的な響きとなっています。
ホワイト・ノイズ
作者 Javg
ピンク・ノイズ
作者 Ktims
ノイズ
全ての周波数のパワーが均一になっているホワイト・ノイズと、パワーが周波数に反比例するピンク・ノイズもオシレータで出力できる場合があります。ホワイト・ノイズは「シャー」、ピンク・ノイズは「ザーあるいはゴー」といった音に聞こえます。
フィルタ
フィルタの概略図
作者 海人
フィルタは、オシレータより送られてきた波形の特定の周波数帯をカットするイコライザー等の一種です。高い周波数をカットするローパス・フィルタ、低い周波数をカットするハイパスフィルタ、通過させる帯域を選び、その他をカットするバンドパス・フィルタといったものがあります。
また、フィルタの効きについては、カットする周波数域のカットの鋭さを設定することが可能なものもあります。更に、フィルタを複数通すことで特定の周波数を強調するレゾナンスといった機能も用意されていることがあります。
アンプリファイア
音量を調節する部分がこのセクションです。増幅の方式に関しては、様々なミュージックプレイヤーにあるように、直線的に増幅するものと指数的に増幅するものがあります。
エンベロープ・ジェネレータ(EG)
エンベロープの概略図
作者 Tobias R. – Metoc
この部分は、音量の立ち上がり時間を決めるアタック・タイム、音量が最大になってから次に設定するサスティン・レベルまで変化する時間を決めるディケイ・タイム、信号が続く限り鳴り続ける音量を決めるサスティン・レベル、音が消えるまでの時間を決めるリリース・タイムの4つ(ADSR)で構成されます。
Low Frequency Oscillator(LFO)
LFOは低周波数を出力するセクションで、これまで紹介してきたオシレータ、フィルタ、アンプリファイアといった各セクションに揺らぎを与えるために用いられます。LFOが生成する波形や対象のセクションによりますが、音程が揺らげばビブラート、フィルタが揺らげばワウ、音量が揺らげばトレモロ、といったような効果が得られます。
これらはシンセサイザーやコンピュータで波形を扱う際の基礎となりますので、覚えておくと良いかもしれません。