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コンパクトエフェクターの優れているところ
数珠繋ぎのコンパクトエフェクター
作者 Michael Morel from Barcelona, Spain
コンパクトエフェクターは、好きなものを好きな順番で繋ぐことができるのが最大のメリットで、各人のオリジナルのサウンド作りを大いに手助けしてくれます。こういった点においては、コンパクトエフェクターはマルチエフェクターより優れているといえます。
コンパクトエフェクターの接続順に決まりは特にありません。しかし、これまでの先人の知恵や挑戦、工夫から、それぞれのエフェクターを生かすための接続順については大枠が作られてきました。ここではそのおおまかな接続順について、説明していきます。
エフェクター接続順
ここでは、エフェクターを大別して、音程、各音域を補正するもの、音を歪ませるもの、音の広がりを生むものの3つに分けて考えます。このようにして分けると、一般的には
「音程、各音域を補正するもの」→「音を歪ませるもの」→「音の広がりを生むもの」といったような順番で接続されます。マルチエフェクターでも、おおよそこういった順番でエフェクトがかかっていくはずです。
音程、各音域等を補正するエフェクター
音程、各音域等を補正するものとしては、ボリュームペダル、ワウペダル、イコライザー、ノイズゲート、コンプレッサー、リミッター等の単純なものから、ある調に基づいて原音に音を加えるピッチシフターやオクターバーといったものが含まれます。
定番ワウペダル、DunlopのCRYBABY
これらはギターの波形が比較的生音に近い方がエフェクトが掛かりやすく、歪ませたり音を広げてから使用すると扱いの難しいよく分からない音になりがちです。そのため、エフェクターを複数使用する際は基本的に最初の方に接続されます。
BOSSのピッチシフター、PS-6
ただ、音程を検出する必要があるピッチシフター等の特に繊細なエフェクト以外は、歪みの後に配置されることが多々あります。
音を歪ませるエフェクター
定番のオーバードライブ、BOSSのSD-1
オーバードライブ、ディストーション、ファズ、そしてこれらに特徴をつけるブースターといったエフェクターは、一般的に音程、各音域等を補正するエフェクターの後、音の広がりを生むエフェクターの前に配置されます。
定番のディストーション、Pro CoのRat2
音の広がりを生むエフェクターの後に音を歪ませるエフェクターを配置すると、残響音が歪むので独特ですがかなり扱いにくい音になります。そのため、歪みのエフェクターはこの配置なのだと思います。
音の広がりを生むエフェクター
定番コーラス、ELECTRO-HARMONIXのSMALL CLONE
このセクションには、コーラス、トレモロ、ヴィブラート、フランジャー、フェイザー、そしてディレイとリバーブが属しています。シンセサイザーでもそうですが、基本的に空間を再現するエフェクトは最後に配置されることが原則のようです。また、この中でもコーラスなどの揺らし系は先に、リバーブなどの空間系は後に置かれるのが一般的です。
定番アナログディレイ、MXRのCARBON COPY
これらを最初に配置すると、残響音にもワウが掛かったり歪んだりと空間の再現性が落ちてしまいます。これはこれで面白いのですがやはり扱いにくい音になりがちなので、基本的には音を広げるエフェクトは最後に使用されます。
音をイメージする
紹介してきた接続方法はあくまで参考例で、正解はありません。大切なことは、何を使用してどのように接続したら頭の中でイメージしている音を作り出すことができるかです。何かを作っていく際には、それまでの考え方を尊重しつつ、これに縛られないようにしていきたいところです。
ちなみに、ギター用エフェクターの接続順まで自在に設定することができるプログラマブル・スイッチャーというものが既に開発され、発売されています。どちらかといえばライブ用途で値段も高価ですが、様々なエフェクターの組み合わせや順番を堪能したり、凝ったシステムを構築していきたい方には向いていると思います。