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コード進行
A7 | Daug7(D7-13) | G | E7 |
A7 | Daug7(D7-13) | Em Em/D# Em/D Em/C# C Bm7 |
A7 | Daug7(D7-13) | G | E7 |
C D7 | Bm7 Em | Am7 | A♭M7 | A♭M7 |
ディグリーネーム
Ⅱ7 | Ⅴaug7(Ⅴ7-13) | Ⅰ | Ⅵ7 |
Ⅱ7 | Ⅴaug7(Ⅴ7-13) | Ⅵm Ⅵm/♭Ⅵ Ⅵm/Ⅴ Ⅵm/♭Ⅴ Ⅳ Ⅲm7 |
Ⅱ7 | Ⅴaug7(Ⅴ7-13) | Ⅰ | Ⅵ7 |
Ⅳ Ⅴ7 | Ⅲm7 Ⅵm | Ⅱm7 | ♭ⅡM7 | ♭ⅡM7 |
機能
SD(Ⅴに対するD) | D(Ⅰに対するD、テンション♭13を持つ) | T | T(Ⅱに対するD) |
SD(Ⅴに対するD) | D(Ⅰに対するD、テンション♭13を持つ) | T(ここからベースが下行) T/T T/D T SD(コードが下行) T |
SD(Ⅴに対するD) | D(Ⅰに対するD、テンション♭13を持つ) | T | T(Ⅱに対するD) |
SD(王道進行の起点) D | T T | SD | SD(サブドミナント・マイナーⅣmの代理) | SD |
分析
今回はGの長調を主調とした、明るく暖かく快活ですが、複雑な和音に由来する渋さもあるコード進行です。テクニックとしては、セカンダリー・ドミナントⅡ7とⅥ7、augでテンション・コードとも言えるⅤaug7(Ⅴ7-13)、オンコードと転回形、王道進行、サブドミナント・マイナー代理の♭ⅡM7が登場します。
まず、1~4小節目では「Ⅱ7→Ⅴaug7(Ⅴ7-13)→Ⅰ→Ⅵ7」とコードが進行します。これは、暖かく優しい「Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ→Ⅵm」を改変した進行で、基本的には同じ雰囲気を受け継いでいます。
更に、ここではセカンダリー・ドミナントのⅡ7やⅥ7により、暖かで滑らかな響きが強調されています。また、Ⅴaug7(Ⅴ7-13)はaugでもありテンション・コードでもある複雑な響きのコードで、楽しげですが渋くジャジーな雰囲気をもたらしています。
次に、5~8小節目では「Ⅱ7→Ⅴaug7(Ⅴ7-13)→Ⅵm→Ⅵm/♭Ⅵ→Ⅵm/Ⅴ→Ⅵm/♭Ⅴ→Ⅳ→Ⅲm7」と進行します。こちらは1~4小節目の流れを踏襲しつつ、ベースが下行していきます。この「Ⅵm→Ⅵm/♭Ⅵ→Ⅵm/Ⅴ→Ⅵm/♭Ⅴ」は、平行短調でも耳にする、気分が沈み込むようなカデンツです。そしてここでは、次のⅡ7に向けて「Ⅳ→Ⅲm7」とコードも下行していきます。
それから、9~12小節目は1~4小節目の繰り返しです。その後、13~17小節目は「Ⅳ→Ⅴ7→Ⅲm7→Ⅵm→Ⅱm7→♭ⅡM7」と進行します。このうち「Ⅳ→Ⅴ7→Ⅲm7→Ⅵm」は、ヒット曲を語る上で欠かすことができない王道進行そのものです。また、♭ⅡM7は切ない響きが印象的なサブドミナント・マイナーⅣmの代理コードの1つとなります。
こうして最後は、切なげで浮遊感が漂う、不思議な綺麗さのある♭ⅡM7がⅠを導きつつ、コード進行が一段落します。
まとめ
今回のコード進行では、「Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ→Ⅵm」を改変した「Ⅱ7→Ⅴaug7(Ⅴ7-13)→Ⅰ→Ⅵ7」が登場しました。進行を加工する場合、コードはセカンダリー・ドミナント化するだけでなく、テンションを加えたり、augやsus4にしたりすることができます。このような様々な選択肢の中から適切なコードを選べるかどうかで、全体の雰囲気が大きく変わっていきます。
また、「Ⅱ7→Ⅴaug7(Ⅴ7-13)→Ⅵm→Ⅵm/♭Ⅵ→Ⅵm/Ⅴ→Ⅵm/♭Ⅴ→Ⅳ→Ⅲm7」ではベースラインが独立して下行しています。このような動きは立体的な響きを生み出し、進行を更に複雑にします。これにより、ボリュームと深みのある響きが生まれます。
そして、「Ⅳ→Ⅴ7→Ⅲm7→Ⅵm→Ⅱm7→♭ⅡM7」では王道進行とサブドミナント・マイナー代理の♭ⅡM7が登場しました。♭ⅡM7は裏コードのⅡ7とは由来が異なりますが、同じようにトニックⅠを導く力があります。そしてその響きはメジャー・セブンスらしく透き通っていてとても綺麗なので、活用できる場面は多々あります。